今回も朝日新聞から(日曜版be 2005/10/30より)。
「ミニテル」という情報端末をご存じだろうか。インターネット以前にフランスが世界に誇っていたビデオテックス・サービスで使用される端末だ。
このミニテル、今でも現役だというから驚いた。
それよりも驚かされたのが、フランスでは電話番号の公開が原則だと書かれていたこと。さすがに「性別が知られる名」「正確な住所」の掲載は拒否できるが、書面での申請が必要になるそうだ。たしかにこれなら事実上、公開原則といえるだろう。
「相手が自分の番号を知り、自分は知らない。これでは社会の均衡は成り立たないからだ」という社会学者エマニュエル・トッド氏の言葉には、社会の成熟度を感じさせられる。
いや、それよりも、未だにお上に依存しているところがあるのかもしれないと、日本の社会について考えさせられた言葉だ。
「国の検査項目にも入っていなかったので調べなかった」 JR西日本が15年にもわたり新型ATSの検査を行わなかったというニュース(NHK)にも、この体質が出ている。
自宅の留守番電話には、今日も何も吹き込まれていない着信記録が残っていた。
「フランスでは日本より売り込み電話が少ない」という一文には、いつまで電話番号を公開するべきか、と思ってしまう。
「法」に依存するのではなく、ひとりひとりが個人情報の保護を考えながら活用する、そんな社会になってくれることを祈っている。
投稿:志賀 武
<参考>