掲載誌 | 雑誌「アクセスさいたま」(財団法人埼玉県中小企業振興公社) | |
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掲載年月 | 2002年4月 | |
執筆者 | 井上きよみ、橋本恭明 | |
記事目次 | ●本文(第1回) ATMからインターネットバンキングへ ~銀行のサービスはますます便利に!~ |
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●各コーナー | 今月のBookMark「D-MAIL」 | |
ワンポイント用語「電子マネー」 | ||
お手軽ツール紹介「地図工房 Pro Ver 4.08」 |
本号では、企業活動や個人の生活とは切り離せない銀行との関係でITがどのような役割を果たしているかを「ATM」と「インターネットバンキング」というキーワードを中心に概観します。
20年以上も前でしょうか?現金の払い出しや預け入れ、振り込みをするには、取引銀行の最寄りの店舗まで行き、振り込み依頼書や払い出し依頼書のような書類を記入して、窓口で手続きを行っていました。現金の入出金は非常に大変な仕事だったのです。
現在では、お金の預け払いや振り込みは銀行の店舗に設置してあるATM(現金自動預払機)を使った現金の入出金が当たり前になっています。非常におおざっぱですが、現金自動預払機を使うときにはキャッシュカードに記録されている顧客の口座情報をATMが読み取ります。ATMは顧客情報を、顧客の銀行の専用回線を通じて銀行のシステムに送り、銀行のシステムは口座残高のような情報をATMに送ります。お金を引き出すときは、引き出した額に応じて銀行のシステムに保存されている残高情報が更新されるのです。
顧客が操作するATMは「端末」です。この端末が専用線を通じて銀行のシステムに接続されています。これは「ネットワーク」です。端末と銀行のシステムとのやりとりは実際の貨幣ではなく、「データ」という形で行われています。ATMを使っても、行列待ちがある、近くの銀行まで行かなければならないということがあります。しかし、書類を書いて窓口に並び、入出金をしていた時代とは雲泥の差です。ATMの登場により、顧客が感じる煩わしさを省くことができたのです。これは立派なIT技術活用事例なのです。
ATMの利点を享受できるのは顧客だけではありません。窓口での顧客の対応、書類の整理に追われていた行員の業務も非常に効率化されます。ATMは顧客にとっても、銀行にとっても大きなメリットを与えてくれたのです。
図1 あさひ銀行がサービスする法人向けインターネットバンキング「あさひビジネスダイレクト」の体験版の画面。WWWブラウザがATMと同じ役割を果たします。 |
ATMはその後ももっと便利になります。今では異なる銀行間のシステムがネットワークで接続され、自分の取引銀行でない銀行の支店からでもお金を引き出せます。また、ATMだけの店舗も登場し、ATMが設置されたコンビニエンスストアもあります。
ATMはたしかに便利ですが、近くにある銀行のATMまで行かなければならないという状況は変わりません。忙しいサラリーマンやOLは、ATMが稼働している時間に銀行に立ち寄れない、立ち寄れたとしても長蛇の列といったこともあります。また、すぐ近くに銀行がない地域では、銀行に行くこと自体が大変なことです。ATMの設置には莫大な設備投資がかかり、銀行もこういった人々の問題を解決のはなかなか簡単なことではありません。
そこに登場したのが、「インターネットバンキング」という方法です。今ではパソコンが広く普及し、家庭に一台のパソコン、社員一人に一台のパソコンという状況が当たり前のことになってきています。このパソコンをATMの代わりの端末に使います。煩雑な設定や高価な投資、複雑な操作は必要ありません。配布される専用のソフトを利用したり、Internet Explorerのようなブラウザを利用したりします(図1)。端末と銀行のシステムを結ぶを専用線はインターネットや電話回線です。まさにATMが家庭や会社にやってきて、好きなときに残高照会や振込の手続きができるのです。
最近放映されたある銀行のテレビコマーシャルに、銀行に行こうとした人が豪雪のため外出することができなかったので、家でパソコンを操作して振り込み(?)の操作を行うというものがありました。このテレビコマーシャルは「個人専用のATM」の実現を象徴しているものです。
個人専用のATMになるのは、パソコンだけではありません。携帯電話からインターネットバンキングができる銀行もあります。現在、あさひ銀行をはじめさまざまな都市銀行や地方銀行がインターネットバンキングのサービスを提供しています。また、インターネットバンキングのみをサービス提供の手段とし、店舗を持たないジャパンネットバンクやソニー銀行のような銀行も誕生しています。
インターネットバンキングというIT技術の活用により、銀行の提供するサービスはより便利になります。しかし、メリットはこの利便性だけではありません。インターネットバンキングによる振込手数料の方が店舗での振込手数料よりも安い、インターネットバンキング専用の口座では、通常の口座より利率がよいといった銀行もあります。利便性の向上のみならず、そこから発生する副次的なメリットも享受できるのです。
ただ、インターネットバンキングにもまだまだな部分があります。現金の引き出しができない点です。これは、「電子マネー」が一つの解決策になるかもしれません。電子マネーはプリペイドカードのようなものですが、価値の補填ができるという点で、支払い機能だけをもったプリペイドカードとは違います。パソコンにカードを読み書きする機器をつなげ、インターネット経由で口座からお金を引き出して、そのお金の価値をカードに記録し、そのカードで商品購買時の支払いを行う、そんな時代が来るかもしれません。
今号では、ATMとインターネットバンキングを概観し、IT化がわれわれにもたらしてくれる利便性の向上を見てきました。ITは決して難しいことのために使われるのではありません。IT化の背景にはこのような「利便性を向上させる」という目的があるのです。
http://www.ntt-east.co.jp/dmail/
NTT東日本 D-MAILのトップページ |
今回紹介するのはNTT東日本が提供するD-MAILのサービスのホームページです。このホームページでは、文例や台紙を確認しながら電報を申し込むことができます。支払いは電話料金と一緒に請求してもらう方法の他、クレジットカードを使った支払いの方法も用意されています。大切な取引先や友人、知人、社員やその家族の慶弔事で電報を送るときには是非活用したいホームページです。
ICカード型の電子マネー。カードにICチップが埋め込まれ、このチップが価値を記憶している。 |
インターネット上のショッピングモールや、企業や個人事業主がインターネット上に開設した仮想店舗で買い物をするということが当たり前のようになりつつあります。ネット上での商取引の普及を背景に実用化が進められているのが「電子マネー」を使った決済の方法です。
電子マネーは貨幣の価値を記録した仮想通貨のことですが、テレフォンカードのようなプリペイドカードとは違い、価値の補填ができるという点が大きな特徴です。
電子マネーは、発行者→利用者→販売者→発行者のようにつねに発行者に戻ってくる「クローズドループ型」と、現金と全く同じように利用できる「オープンループ型」の二つに大別できます。また、使用形態の面から見ると、金額を記憶するICチップを埋め込んだICカード型とパソコンにインストールしたソフトに金額を記憶させ、オンライントレードで利用するソフトウェア型の二つがあります。
日本では旧大宮市や渋谷区などで実験が行われましたが、電子マネーを使える店舗が少なかったということもあり、さほどめざましい結果は得られませんでした。実用化にはまだまだ時間がかかるでしょうが、電子マネーは商取引における未来の決済手段として期待されています。
対応 | Windows 95/98/Me/NT | |
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発売元 | 株式会社パニック | |
標準価格 | 標準価格 2,500円 | |
お問い合わせ | http://user.parknet.co.jp/panic/ |
最近ではホームページ作成のためのソフトもたくさん出回って、ちょっとパソコンができる人であれば簡単なホームページをすぐに作成できるようになりました。会社案内のホームページを社員が作っているというケースも珍しくありません。このようなホームページには住所・代表電話番号のような会社の基本情報を掲載しまが、悩ましいのが会社までの道案内の地図の作成。「パソコンはできるけど、絵心がないし、なかなかうまく地図が書けないな...」そう思う方も少なからずいらっしゃるでしょう。
ホームページ用するときだけではありません。会社移転の案内や自宅の引っ越しの案内などにも道案内図は入れたいものです。
そんなときおすすめしたいのが、「地図工房 Pro Ver 4.02」。このソフトは道案内図を極力短い時間で簡単に作成できるようにというコンセプトで作られたソフトで、そのコンセプトどおり、見た目にも美しい道案内図をあっというまに作成することができます。駅や標識、道路、矢印など、道案内図に必要な要素はほとんど画面右側のパレットに用意されているため、めんどくさい操作も必要ではありません。描きたい要素を画面右のパレットから選択して、画面上をドラッグしたり、クリックしたりするだけで道案内図を描くことができるのです。(図1・図2・図3)
「地図工房 Pro Ver 4.02」で描いた道案内図は、ホームページでよく使われる画像のファイル形式であるJPEG形式やWindowsの画像ファイルのもっとも一般的な形式であるBMPというファイル形式に書き出すことができます。書き出したファイルはホームページ作成ソフトで読み込んでホームページ上に配置したり、ワープロソフトやはがき作成ソフトで読み込んで書類の上に配置したりすることができます。簡単に案内図を作成したいときは「地図工房 Pro Ver.4.02」をおすすめします。
このソフトはシェアウェアと呼ばれるソフトで、販売元である株式会社パニックのホームページやベクターのホームページ(http://www.vector.co.jp)からダウンロードして利用します。使い勝手を試した後、気に入ったら銀行振込で代金を支払いましょう。入金が確認されたらパスワードが送られてくるので、このパスワードを入力したら、正式なユーザとして思う存分使うことができます。
なお、「地図工房 Pro Ver.4.02」にはさらに機能の充実した「Enterprise」版(9,800円)も用意されています。
図1 この程度の地図であればあっという間に作成できます。 |
図2 画面右側のパレットから、描きたい地図の要素を選択して、画面上をドラッグします。パレットにはさまざまな要素が用意されています。 |
図3 作成した地図はJPEG形式やBMP形式で書き出して、ワープロソフトやホームページ作成ソフトで読み込むことができます。 |
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第1回 ATMからインターネットバンキングへ
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