図表1に予算別に使えるネット広告をまとめた。まずは始めてみることが大切。やってみなければ費用対効果もわからない。扱う商品・サービスの需要動向、自社ポジションによって最適な広告方法は異なるが、中小企業でも敷居が低く始めやすく、かつ、やり方次第で大きな成果を出せるものを中心に紹介する。
ネット広告の種類 |
月間予算 | 広告の特徴など | ||||
0~1万円 | 1~3万円 | 3~5万円 | 5~10万円 | 10万円~ | ||
無料でできる各種広告 | ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | 探せば多種類のものがあるが、業種やターゲットに合ったものを優先的に実施 |
キーワード連動広告 | △ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | 最初は適正予算を見極めるのが難しいが、手軽に始められる |
Yahoo!Japanへの有料登録 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | はじめの一歩と考え、必ず実施 |
Yahoo!電話帳へのスポンサーリンク | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | リアル店舗がある、地域商材なら必須 |
メルマガ発行 | △ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | 読まれる内容、続けられるペースをきちんと検討してからスタート |
メール広告 | △ | ○ | ○ | 他のメルマガに挿入する5行程度の広告。料金とのバランスを検討のこと | ||
アフィリエイト | △ | ◎ | ◎ | 個人向け商材で全国展開できるものが最も効果的。面倒見の良さが大きく成績を左右 | ||
ネットリサーチ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
年に1~数回を目処に実施。集客とリサーチの一挙両得 | |
懸賞 | △ | ○ | ○ | ○ | 個人向け商材で全国展開できるものが最も効果的。見込み客以外のひやかしもかなり混ざる可能性あり | |
予算別のオススメ、傾向 | ◎以外は、無料広告をとにかく使い倒す。しかし、社内の手間(人件費)はかかる | キーワード連動広告は効果を見てこまめに軌道修正する | 日常的広告と年に1~数回実施 | かなりの種類の広告が出来る。効果を見ながらメリハリを | いろいろ試しながら、効果の高いものに注力する方向に |
月間予算以下が3万円以下なら、予算内でできるものを厳選し、ローコストで定額のものを中心に展開。予算が3万円以上なら、キーワード連動広告を中心に、選択肢が増えてくる |
Yahoo! JAPANは国内で最も人気のある検索サイトであり、ここにきちんと登録しておくのが肝心である。2005年4月1日より商用(営利)サイトは無料登録申請がなくなり、「ビジネスエクスプレス」という52,500円(一部業種は157,500円;いずれも税込)の有料登録審査のみになった。その代わり、申請から確実に7営業日以内に登録審査され、その結果、登録不可であっても初回申請時のみは30日以内であれば、無償で再審査される。
申し込みは「Yahoo! JAPAN」のトップページ下方の「ビジネスエクスプレス」をクリックして始める。
ただし、申請するWebサイトにリンク切れや工事中ページがないこと等が必須条件で、また、登録を保証するものではない。申し込み前に必ずサイト点検をし、不具合を修正しておこう。
地域密着型店舗や地元の特産品を扱う場合に特にオススメなのが、「Yahoo!電話帳」の「スポンサーリンク」だ。該当ページの一番上に表示され、ワンクリックで自社サイトに誘導できる。特に店名(名称)が50音順で最初に来ない場合は、非常に有効だ。クーポン券を付けるサービス(「Yahoo!クーポン」)を併用すれば、リアル店舗への来店率も高まる。
料金は電話帳のみが年間31,500円で、クーポンとセットなら63,000円で、月額換算すれば5,250円とローコストだ。
申し込み案内のページに行くには、「Yahoo! JAPAN」のトップページから左上方のカテゴリで「クーポン」を選択し、次のページ右中ほどで「クーポン掲載のご案内」をクリックするか、もしくは直接URL「http://coupons.yahoo.co.jp/promo/client/」を入力する。
図表2 「Yahoo!電話帳のスポンサーリンクとクーポン表示」 |
2大検索キーワード連動型広告である、アドワーズとオーバーチュアを見よう。両者ともWeb上から直接申し込みできる。あらかじめ、キーワード、タイトル、説明文を用意してから始めよう。
そして、もう一つ重要かつやっかいなのは予算決めである。最低クリック単価は安くても、実際の価格はキーワードごとに入札で決定されるので、刻一刻と情勢は変化する。支払金額は「クリック単価×クリック数」なので、あらかじめ上限金額を設定しておけば、達したところで広告表示しなくなる。「2週間で400クリック」のように目標を設定しておけば、おのずと予算も決まってくる。
しかし、これらを準備・決定するのは意外と大変で、その意志決定でいいかの自信も持てないであろう。例えばオーバーチュアの場合、アドバイスが受けられる有料コースにするという選択肢がある。また、両広告とも多数の広告代理店があるので、そこを通じて出稿する方法もある。料金はかかるが、プロのノウハウを活用できるので、作業時間が短縮でき、トータルとしてコストパフォーマンスを上げられる可能性が高まる。
アドワーズ | オーバーチュア | |
提供 | グーグル | オーバーチュア |
掲載サイト |
|
|
最低クリック単価 | 7円 | 9円(一部35円) |
初期費用 | 500円 | 0円 |
その他 | キーワード等のアドバイスのある有料コース(1回31,920円)もある |
図表4 「オーバーチュア広告の申し込み画面(キーワードの選択ページ)」 |
見込み客を顧客化し、さらにリピートを促すには、メルマガの発行だ。今までの広告が利用者のアクションを待っているのに対し、メルマガはプッシュ型のアグレッシブな広告ツールである。
「まぐまぐ!」等でおなじみの、無料メール配信スタンドを利用する方法もあるが、顧客をきちんと把握し、不要な他者広告を入れないためには、有料の配信サービス(メール配信ASPサービス)を利用することをオススメする。これなら手間をかけずに、月間数千円の利用料ですぐに始められる。メール本文に顧客名を入れたり、セグメントした対象者にのみ配信したりするなど、細かな設定ができる。運営・管理上面倒な不達アドレス処理などもかなり自動でできる。ケータイメールに対応したサービスも多い。
例えば、このようなサービスの一つである「CombzMail(コンビーズメール)」では、初期費用1万円で、月額料金は2,300円 (月間配信5万通以内)から数種のプランがある。
メルマガを配信する時、どうしても自分たちでやらなくてはならないのが、メルマガのコンテンツ作成。つまり、インパクトあるタイトル、読みやすいレイアウト、興味を引きつける内容だ。
そのためには、いくつかのメルマガを購読し、読みやすいと思ったレイアウトをマネしたり、ライバル社のメルマガから自社コンテンツを検討したりするといった地道な努力が必要。メルマガ発行に関する書籍も多数出版されているので、それらを読んで研究しよう。
最初はがんばってメルマガを作っていたものの、次第に続かなくなりアウトソーシングするケースも増えている。しかし、単にメルマガ制作だけの委託は、ほとんどの場合「仏作って魂入れず」となり、読まれない形だけのものとなる。自分たちの商材にかける自信や仕事の情熱は、やはり当事者でなければ伝えられないし、それが読者の心にはたらきかけ、アクションを起こすきっかけとなる。
アフィリエイトやネットリサーチの主なサービス提供会社は図表5、6のとおり。前章の事例を参考にし、活用を検討してほしい。 ここでは懸賞とニュースリリースサービスを紹介する。
サイト名 | 運営会社 |
A8.net | ファンコミュニケーションズ |
ValueCommerce | バリューコマース |
LinkShare | 三井物産、(米国)リンクシェア |
TRAFFIC GATE | トラフィックゲート |
ライブドア・マーケティング (旧Value Click) |
ライブドア・マーケティング |
JANet | アドウェイズ |
企業名 | URL |
マーシュ | ネットリサーチ専業系。良質なモニタの確保に強み。 |
マクロミル | ネットリサーチ大手。30万人のモニタをかかえる。 |
インフォプラント | ネットリサーチの大手。海外調査なども可能。 |
インタースコープ | ネットリサーチ専業系。データ解析手法に特徴がある。 |
iMiネット | メールマーケティングの大手。会員数45万人。 |
Yahoo!リサーチ | ポータルサイトの強みを活かし、老舗リサーチ会社インテージと組んで提供。 |
goo!リサーチ | 2万5千人以上のビジネスモニタも保有。三菱総合研究所と組んで提供。 |
infoseekリサーチ | モニタは楽天市場で使えるポイントが貯まる。 |
ネットの世界でなくとも懸賞は古くから存在する一種の広告手段。ネットの場合は申し込みも居ながらできるので、短期間により大勢を集めやすい。
そのためには懸賞の広い告知が必要で、たくさんの懸賞情報サイトに登録すればよい。登録は無料であるがその手間を省くために利用したいのが、登録代行する無料・有料サービスだ(図表7)。
しかし、懸賞では注意したい点が2つある。
1つは、告知以外に、応募ページの作成・設置、応募者の管理、賞品の選定や配送など多くの作業が発生する点だ。個人情報を集めるのでセキュリティへの配慮、賞品購入や配送にかかるコストも合わせて予算化しておく。懸賞全体を代行してくれるような業者に一任するのもよい。
もう一つは、単なるプレゼント目当てで顧客に成り得ない人も多いということ。応募フォームに簡単なアンケートを付ければ、回答の面倒さから応募者の絞り込みがある程度、自然にでき、またリサーチも実施できるという一石二鳥になる。
究極の広告は「パブリシティ」とも言われるが、それに結びつけるにはプレスリリースを流すのが効果的だ。これは決して大企業だけのものではなく、ネットサービスを活用すれば、中小企業でも十分にできる(図表8)。新しい商材、改良商材を売り出す場合、イベントを実施する時に利用したい。
初めてのプレスリリースであれば、原稿をチェックしてくれたり、原稿自体を作成してくれたりするサービスを選ぶのが無難だ。
そして、最も大切なのは、配信タイミング。必ずサービス等の開始前にすること。開始後ではどんなに優れたものでも「既知」の内容となり、メディアが取り上げてくれる可能性はぐっと低くなる。
サービス名 | 無料 | 有料 | 備考 |
さぶみっと!JAPAN | ○ | 5,250円 | 無料版は7サイトに登録。有料版は25~100サイト。 |
PRJAPAN |
○ |
8,400円 | 無料版は35媒体に登録。有料版は最大561倍体。半年間繰り返し利用なら35,700円コース(半年)。また懸賞ページ制作・作成、集客、賞品配送等を代行する有料サービスもある。 |
Hot-Prize! | ○ | × | 約40の懸賞サイトからアクセスされるが、懸賞サイトへの一括登録ではない。応募フォームは当サイト専用のものを利用。 |
サービス名 | 無料 | 有料 | 備考 |
PRESSNET | × | 5,250円/件 | 国内のほぼすべての報道関係者やポータルサイト関係者と、投資家などの約3400名の配信先を持つ。設立後1年程度までの企業は「ベンチャー割引」で半額。 |
@Press | × |
39,990円/件 | 1000以上の配信先からないように見合う100~200媒体に配信。料金には、リリース原稿のチェック・修正、配信後は一定期間の掲載チェック・報告が含まれる。 |
ValuePress! | ○ | 10,000円~/件 | 無料版は、主要媒体10誌(日経新聞、Asahi.com、毎日新聞、読売新聞等)に配信。有料版は最高589媒体に配信。初心者には原稿作成が含まれる2万円コースがオススメ。 |
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