今までのページをご覧になって、ネット広告に関する一通りの知識を身につけていただけたことと思う。しかし、いざ、自分たちが、もしくはクライアント様がネット広告を出そうとしたら、何から手を付けるべきか戸惑うであろう。本章と次章で、ネット広告への予算配分や、どのようなメディアに出稿するかを考えてみよう。ただし、これから解説することは、あくまで一つの方法であって、絶対的な正解はない。広告主として、もしくは広告主となるクライアントを持つコンサルタントとして、最低限知っていると「得」というレベルで、内容を選択した。
初めて広告を出そうとした時、ネット広告かそうでないかにかかわらず、広告費をいくらかけるべきかで悩んでしまう。広告費と売上高との間に必ずしも相関関係が成り立つとは言えず、費用対効果がよくわからないからである。そこで、少し整理してみよう。
そこで、「お客様1人を獲得するのに、どれだけの費用がかかるか(かかりそうか)」という「顧客獲得コスト」で考えてみよう。
一度獲得した顧客が平均して1年間にどれくらいの買い物をしてくれるかは、今までの経験と実績で推量できることが多いはずだ。それも無理であれば、1人年間10万円、年商3千万を達成するには300人が必要、と強引に決めてもよい。1人あたりの購買額が決まれば、そのうちどのくらいまでなら獲得費用として使っていいか、つまり広告費を投じるべきかが見えてくる。例えば、購買額が10万円なら、その5%にあたる5千円くらいは広告費にかけていいだろうと考えられるかもしれない。300人分なら年間150万円となる。
これなら月間125,000円が広告費としてかけられるので、実際にできそうなネット広告がいくつかある、という結論に達する。
コンサルタントの立場としては、本当に広告費を出すべき価値があるか、出すべきタイミングであるかを再考してほしい。ネットショップであれば、第一に「商品力」、そして「Webサイト(使いやすさ、きれいさ、鮮度)」や「顧客対応力」などが総合的に求められる。
特に商品力に問題がある場合、広告費はムダになる可能性が高い。広告費を投じるよりも、ショップ運営の根幹に対して手間暇をかけるべきという決断をすべき時もある。
Webサイトへのアクセス状況を見ることはできるだろうか。最近のレンタルサーバは、基本料金にアクセスログ集計機能が含まれている所も多い。その場合は、説明書に書いてあるページを開き、与えられたID・パスワードで閲覧できるので、まずはそれを見て、状況と傾向をつかんでほしい。
そのような機能がない場合は、ネット広告に先立って、アクセスログが取れるように整えることを強く推奨する。無料のツールやサービスでも十分だ(詳細は囲み記事参照)。これがないと、今後、ネット広告を利用した時、その効果が十分に測定できないので、ムダな広告費を垂れ流すことになりかねない。
図表7はある企業のアクセスログ集計例だが、平日の昼間にアクセスの多いことがすぐにわかる。また、「リンク元」とはどのサイト経由でやって来たかを示すもので、ダントツ1位でGoogle、2位Yahoo!、次いでURLの直接入力、MSN、自社サイト内の異なるページ、goo、ニフティと、圧倒的に検索サイトからが多い。よって、Googleのアドワーズ広告を第1優先で実施し、そして、Yahoo!などオーバーチュアのスポンサードサーチも予算が許せばやってみよう、というふうに戦術を練れる。また週1回メルマガ配信するなら、火曜日の昼間が最適ということになる。
図表1 「アクセスログの集計例」 | 図表2 「キーワードアドバイスツール」 |
アクセスログ解析ツールを使おう |
アクセスログ解析ツールには、
に大別でき、どちらも無料、有料のものがある。レンタルサーバでは1が利用できない場合があり、また、技術面に詳しい人がいない場合はサーバの状態ににかかわらず、2の方が手軽に導入できる。その他ツール選択のポイントとしては、ほしいデータが収集できるか、解析結果が見やすいか(画面サンプルである程度判断可能)を重視すればよいだろう。無料~月額1万円くらいの予算で、かなりの選択肢がある。いくつかを紹介しよう。 |