掲載誌 | 無料メールマガジン「IT情報ネットワーク」 66号(神奈川県中小企業団体中央会) |
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掲載年月 | 2004年12月28日 | |
執筆者 | (株)アイドゥ 代表取締役 井上きよみ (&スタッフ) |
B2C、つまりネットを利用した個人向け市場は、経済産業省等の実施した「電子商取引に関する実態・市場規模調査」によれば、2002年に2.3兆円、2003年には前年比65%増の4.4兆となり、勢いよく伸びています。ケータイやパソコンを利用して、商品を購入したり、ホテルを予約したり、着メロや楽曲を取り込んだりというのは、日常の風景となっています。
筆者自身、今年のネットでの購入や予約を合計すると百万円以上と、相当使っています。仕事・プライベート両面で利用しますが、「今、ほしい」「今、申し込みたい」を満たせるのが、第一の魅力です。いつでも居ながらにして買い物ができるのは、時間と場所から解放され、利便性が一気に向上しました。
そして第二に、簡単に比較できることです。「価格.com」や「国内線ドットコム」などの比較購入サイト、「楽天市場」などショップの集積によって、膨大な商品からお目当てのモノを、素早く、お得にゲットできます。
第三に、国内・海外のご当地でしか、もしくは特別なルートでしか入手できなかったものの多くが、容易に購入できるようになったことです。
この状況は、ショップ等のお店側にとって、脅威でもあり、チャンスでもあります。消費者によって瞬時に比較されてしまうため、他よりどこが優れているかを懸命にアピールしなければなりません。
例えば、
・独自の商品・サービスを扱っている
・同じモノなら価格が安い
・対応が親切・丁寧・早い
・決済手段が豊富
・配達が早い、指定ができる
・返品・交換ができる
・特典など、付随するサービスが魅力的
などです。
ただ単に「実店舗を持たないので手軽に始められる」という理由だけで始めても、全く商売にならないでしょう。行き着くところ、実店舗もネットも、「経営」は同じです。その上で、ネットの特性を、どう活かしていくか、どう克服していくかを考え、実践するのが大切となります。
ネットでは、ショップ側にとっても「即時性」は大きなキーポイントです。
在庫処分(クリアランスセール)、時間帯別セールなど、「売り時」を活かしやすいのです。メルマガやWebサイトによって、あまりコストをかけず、それも即座にお知らせできます。
データベースと連動すれば、「残り、あと3つ!」などと、消費者心理をうまく喚起する演出さえも、自動的にできるのです。
しかし、その中に売り手の「心」を織り込まなければなりません。
競争はもはやネットの中だけではなくなりました。価格やサービスなど、実社会にもダイレクトに影響を及ぼすまでになっています。
さらに物流までも変えました。購入と決済まではネットでできても、コンテンツ配信を除き、配達だけはどうしても現実の壁があります。しかし、配達時間や場所を細かく指定し、その指定さえもネットでできるなど、数年前に比べ、宅配各社がバリエーション豊かなサービスで競うようになりました。
平成17年4月全面施行される「個人情報保護法」、手口が巧妙化して被害が拡大する「振り込め詐欺」などの世相を反映し、安全管理が重要な要素となりました。
コストや手間がかかる上、売り上げ増加に直接つながるわけではありませんが、ネット社会の基本的責務として定着しつつあります。これが守れなければ、それほど遅くない時期に市場からの退場を余儀なくされることでしょう。
反対にいち早く取り組めば、それが現時点では「強み」ともなりますし、長期にわたる信頼獲得にもなります。
24時間365日、そして急激な環境変化に応えていくために、ショップ側に求められる努力と工夫は並大抵のものではありません。決して売り上げ不振ではないのに、運営に行き詰る所も多くあります。中小企業においては、少ない経営資源の中で、商売を軌道に乗せて継続するための体制をどう築いていくか、つまり経営者が燃え尽きないための方策を早い段階で計画しておくことを忘れてはなりません。
そのためのポイントとして、ITをうまく使いこなすことも重要となります。
参考URL(日本経済新聞社)
・「平成15年度電子商取引に関する実態・市場規模調査」(経済産業省など)
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/press/0005308/0/040611denshi.pdf
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