掲載誌 | 有料メールマガジン「Scan Security Management(2003年度)(バガボンド)」 今注目のネットワークにまつわる規格・制度をわかりやすく解説! |
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掲載年月 | 2003年11月25日 Vol.036 |
執筆者 | 井上きよみ |
記事の解説 | インシデントのマンスリーレポートとして |
株式会社まぐまぐといえば、メールマガジン2万7千誌以上、のべ読者数2千6百万人以上を有する、日本最大のメールマガジン配信サービス会社である。9月、まぐまぐが運営する、
の2つのWebサイトで、クロスサイトスクリプティングの問題のあることがわかった。現在はすでに対処済みで、その心配はない。この問題について、そして発覚から対応までの経緯をまとめ、また考察を加えてみた。
問題となったのは、上記2サイトでそれぞれ設置されている検索ボックス。メールマガジンやプレゼントの検索に利用される。ここにHTMLやスクリプトを入力すると、そのまま実行されてしまう状態になっていた。悪用されれば、クレジットカードや電話番号などの情報を盗み出すことも可能である。つまり、検索用CGIにクロスサイトスクリプティングに対しての対策が施されてなく、セキュリティ的に脆弱な状態であった。これに対しては、HTMLのタグやスクリプトを無効化する、サニタイジングにより回避できる。具体的にはタグを文字列に置換する処理を施すわけである。
この問題に気づいたのは、ネットアンドセキュリティ総研株式会社(旧:バガボンド)である。発覚から対応まで、まぐまぐとバガボンドのみのやりとりとなった。
9月24日(水) [Eメール]バガボンド → まぐまぐ(プレミアム事務局)
9月29日(月) [Eメール]バガボンド → まぐまぐ(プレミアム事務局、広報担当)
9月30日(火) [Eメール]まぐまぐ(広報担当) → バガボンド
クロスサイトスクリプティングの問題があったこと、その対策を講じたこと共に、まぐまぐのWebサイトでは一切記載がなかった。同社発行のメルマガ「ウィークリーまぐまぐ」でも9月末から現在までの間に、これに関する記載は全く見受けられなかった。
この問題が初めて公になったのは、対策が講じられた後の10月3日、発見者でもあるバガボンドによってである。しかし、まぐまぐ側は問題が公開された後も、前述のとおりで読者への報告は実施しなかった。
振り返ってみると、幸運にも何ら具体的な被害が出たわけではない。たまたま気づいた側が報道・出版関係者であったこと以外は、「こっそりと」修正してしまえば、それで済んだことであり、事実、そうなっている。寝た子を起こすがごとく、わざわざ読者に告知して、いたずらに不安を煽る必要はないかもしれない。
どうするのが正しい措置であったかは、今となってはわからない。
が、いろいろな意味で情報公開が叫ばれている昨今、そして、フレンドリーでオープンな印象を我々に与え続けてきた企業の、意外ともいえる一面を見た気がする。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 「まぐまぐ」サイトで発覚したクロスサイトスクリプティングの問題とその対処
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