掲載誌 | 雑誌「アクセスさいたま」(財団法人埼玉県中小企業振興公社) | |
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掲載年月 | 2007年3月(第12回) | |
執筆者 | (株)アイドゥ 代表取締役 井上きよみ (中小企業診断士) |
経済学者に「日本の景気はいい」と言われてもピンと来ない中小企業の方が多いのではないでしょうか?さいたま商工会議所の最近の「中小企業影響調査報告書」(2006年7~9月期)でも業況は芳しくありません。
この報告書では、資金繰り(図表1)や借入難易度も調査していますが、いずれも厳しい状況です。唯一、短期資金借入難易度を「容易」と答えた割合がい程度です。
しかし、自社の努力で、今より資金繰りを楽にすることは可能です。
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資金繰りが苦しくなれば、つまり、手持ち現預金が少なくなれば、金融機関から短期借入をし、一時しのぎするのは、ありがちな行動です。とはいえ、安易な借金は、さらに現状を悪化させます。
景気回復に伴い、金利も上昇方向です。現在、中小企業融資の年利は、公的機関で2%台、民間金融機関では数~20%程度でしょう。
仮に500万円を借りて1年後に一括返済すると、年利7%で金利は35万円、15%では75万円です。一般的に手軽に借りれるものほど、金利は高くく、せっかく努力して生産コストや仕入れコストを削っても、この借入により、帳消しとなってしまいます。
その点を経営者に尋ねると、金利コストをきちんと把握していなかったり、または「必要悪」という答えが返ってきたこともあります。
しかし、足りなくなったら借金というのでは、いつまで経っても儲かる体質への脱皮はできません。日々の業務に追われ、わかっていてもなかなかできない、というのが実情でしょう。
「キャッシュフローの改善」というフレーズは難しく聞こえがちです。が、要は、経営者自身が、現在と少し未来のお金の増減の動きをしっかり把握すれば、「慌てて借金」から「計画的調達」に変えることができ、少ない努力で経費を削減できるはずです。
税理士に任せている、と言う人もいますが、税理士は税務のスペシャリストであって、会社経営は経営者の仕事です。
お金の流れをきちんと把握することこそ、経営者の最重要任務であり、それは単に金利負担の削減に止まらず、経営体質の改善、内外からの信頼アップという、うれしい副産物をも伴います。
最近の経理ソフトは簿記がわからなくても、帳簿付けができれば使えるものが多くあります。特に中小企業向け商品は、その傾向が顕著です。
これらのソフトでも収支管理はできますが、収支部分には直接関係しない機能も多く、慣れない人にはかえって使いにくいかもしれません。それに経理ソフトは未来の予測よりも、過去の取引記録をしっかり記録することに重点がおかれています。
そこで、資金繰りに特化したソフトの利用をオススメします(図表2)。過去の取引記録だけでなく、近い将来に発生する入出金まで同様に扱うことで、お金を増減を明確化・見える化し、資金繰りを楽にしていこう、というものです。
たとえば、未入金の取引先を見つけやすくして、回収モレを防ぐ、という入出金に関わる直接的なものから、半年先までの現預金の増減グラフを出すことで、資金ショートの可能性が一目でわかる、というような機能を持ち合わせています。手形を管理できるものもあります。
名称 | 発売・開発元 | 定価 (税込) | 備考 |
ビズソフト 社長の経理ナビ | ビズソフト | 10,500 | 資金予測まで簡単にできる |
資金繰り名人ダンドリ君 | コムネット | 43,394 | 価格は「Professional キャッシュフロー対応」版 |
ザ・資金繰り | エスオーエー・コミュニケーションズ | 47,250 | 業績予測等もできる |
資金繰りらくだ | BSLシステム研究所 | 20,790 | 価格は「プロ3」版 |
らくらく資金繰り予定表 | ikuty | 10,000 | ダウンロード版のみ |
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という方々に、特に向いています。
キャッチコピーが「社長のための収支管理ソフト」と言うだけあって、入出金管理と近い将来の資金計画とが、簿記の知識ゼロでもできるようになっています。
30日間無料で試せる体験版もWebサイトからダウンロードできますが、かなりリーズナブルな価格ですので、操作説明書などがきちんとついている製品版を最初から購入する方が、スムーズに始められます。
スケジュール帳やカレンダーへ予定を書き込む作業を、だれもが日常的に行っていると思いますが、このソフトの一番の注目ポイントは、それと同じ感覚で実際に出入りしたお金や、出入りの予定を入力できる点です。これならば、すんなりと使えそうです。
例えば、売上を記録する場合、カレンダー形式の画面から日付を選んで、金額や内容を入れます。その時に合わせて得意先情報も登録できますし、「月末締め翌月20日払い」のような条件を入れておけば、次月20日の欄に回収予定が自動で表示されます。
まさしく「収支スケジュール帳」になるのです(図表4)。各金額についたマークで売上、回収、仕入、支払いなどが一目でわかるようになっています。
カレンダーへの入力以外に、請求書や給与明細書も作成でき、その入力もカレンダーに反映されます。今まで請求書を手書きや表計算ソフトで作成していた人にとって、きれいな帳票が出力できること、そのまま収支データとして使えることから、とても便利な機能です。
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ボタン1つで、いつでも月単位の確認が「収支予定表」でできます(図表5)。旗印が実績分、印のないものが見込み分で、この一画面だけで数ヶ月間の大きな流れと、取引先ごとの状況がわかります。これで回収モレや請求モレの早期発見ができそうです。
収支予測は、指定した開始日から3ヶ月間をグラフ表示できます(図表6)。これは資金ショートの発見に大変役立ちます。折れ線グラフがゼロより下にくれば、その部分が資金ショートする期日と金額なので、いつまでにいくらを調達すれば回避できるかが正確に把握できます。
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資金は、よく血液に例えられます。血液が循環しなくなると、急に倒れたり、病気になったりしますが、経営もまさしくそうです。ドンブリ勘定のままでは、漠然とした不安を抱えたまま、毎日を過ごしていくことになります。お金の流れを「見える化」することで、何をすべきかが明確となり、今までの不安は、「行動」するにより払拭されるでしょう。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第12回 資金繰りに強い経営者になる ~簡便性が増した、収支の見える化お助けツール~
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