掲載誌 | 雑誌「アクセスさいたま」(財団法人埼玉県中小企業振興公社) | |
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掲載年月 | 2006年6月(第3回) | |
執筆者 | (株)アイドゥ 三原崇人 |
アクセスログ解析とは、Webサイト(以下、サイト)のアクセス数の推移や、閲覧者がどのページから来たか、などのデータを集計・分類していくことです。それを簡単に見やすく加工してくれるツールをアクセルログ解析ツールといいます(図表1)。
図1 アクセスログ解析ツール使用中の画面 |
ツールの利用形態としては、
タイプ | ソフト名 | 有料・無料 | 提供元 |
ソフトウェア | AshiatoLOG (アシアトログ) | 無料 | Funakichi氏 |
ソフトウェア | 高機能アクセス解析 CGI Professional版 Ver | 有料 | futomi 氏 |
サービス | Google Analytics (グーグル アナリティクス) | 無料 | |
サービス | いちにのアクセス解析 | 有料 | 有限会社イーナチュラル |
図表3 Google Analytics申し込みページ |
既に解析ツールを利用している方もそうでない方にもオススメしたい解析ツールがあります。Google Analytics(グーグル アナリティクス)」です(図表3)。人気が殺到しているため、申し込みしても順番待ちの状態ですが、無料で広告なしである点や、長期に渡るログ蓄積、後述のページごとのクリック先が分かる機能、など他を圧倒する利点があります。
「置方法は、FTPでの更新作業ができる方であれば、図表4のようにhtmlのファイルにコードを貼り付けるだけです。
図表4 設定方法に従い、 |
の前にコードを貼り付けた
では、アクセスログをどのように利用するか、手始めに、どのページへのアクセス数が多いかを調べてみましょう。
「見てほしいページが見られていなかったり、予想外に閲覧の多いページなどが簡単に把握できます。意図したページのアクセス数が少ない場合は、アクセス数が多いページから目立つようにリンクし、閲覧を誘導するなどの策を講じます。
閲覧者は、ページを開いた際に「ここには必要な情報はない」と思ったらすぐにページを閉じてしまいます。
閲覧ページ数、閲覧時間はサイトの満足度の指標として考えることができます。
多くのページを長時間見ている場合は、満足し得る情報が多いことを示しています。
反対に、総ページ数が10ページ程度で、短時間に数倍のページ数を見ている場合は、サイト内でほしい情報が見付からないなど迷子になっている可能性があります。この場合は、すべてのページにトップページへ戻るリンクはあるか、サイトマップはあるか、などサイトの構成・ナビゲーションを見直す必要があります。
さらに、離脱率すなわち閲覧を終えた率が高いページは、問題があるかもしれません。
サイトを見終わるのは、十分に満足した場合か、目的を達成できず諦めた場合です。前者であれば良いのですが、後者であれば潜在顧客を失っている可能性があります。前項同様にナビゲーションが適切さや、関連情報の閲覧促進などを検討してみましょう。
検索サイトからアクセスがあった場合、どんなキーワードで検索されたのかの統計も見えます(図表5)。
社名か、社長などの個人名か、商品名か、使用用途か、といった項目が挙げられる傾向にあります。
ここで気を付けておきたいことは、間違った言葉で検索してくるものです。例えば、本誌は「アクセスさいたま」と「さいたま」はひらがなですが、「アクセス埼玉」として漢字で検索している人が多いかもしれません。
他にも、ひらがなとカタカナの違いや、「工業」か「興業」のような同音異義語での間違いもあるでしょう。
図表5 検索語句の上位を表示した様子 |
これらは「間違える方が悪い」と突っぱねず、「なるほど!こういう人もいるのか」とプラスに捉えるべきです。検索する人がいなければ、ずっと気付かなかった可能性もあるのですから。サイトリニューアル時などに図表6のようにページの「metaタグ」と言われる部分にキーワードを盛り込むなどし、機会損失を減らせるようにしておくべきです。
図表6 正式名称とともに間違い候補をmetaタグに入れておく |
Google Analyticsには、他のアクセス解析ではなかなかお目にかかれない機能が付いています。各ページのどのリンクがクリックして移動しているか、が分かるのです。図表7のように、多くクリックされたリンクは棒グラフが長くなっています。このままリンク先へ進むと、また同様のグラフが表示され、まさに閲覧者の立場で導線の検証ができるようになっています。
例えば図表7を参考にデータを取ってみましょう。
図表7 ページごとにクリック率に応じた棒線が表示される |
ページごとの人気リンクが分かりますので、「Aのページを見ている人は、Bの情報を欲する傾向にあるかもしれない」というように導線の仮説が立てやすくなります。また、同時に検証も可能であり「サービスメニューを見た後には、問合せページへ移動してほしい」というように思っていても、閲覧者はまったく別の動きをしているかもしれません。
閲覧してほしい情報は、クリック率が高い部分に隣接させるなどの対策をすると良いでしょう。
サイトは作って終わり、となりがちですが、通常業務同様に「Plan・Do・Check・Action」を回しての改善が必要です。Checkの部分でアクセスログ解析をし、コンテンツの追加やリニューアルを会議で提案してみてはいかがでしょうか。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第3回 「アクセスログのWebサイトもPDCAを回す」~お宝の埋もれたデータ~
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