掲載誌 | 雑誌「アクセスさいたま」(財団法人埼玉県中小企業振興公社) | |
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掲載年月 | 2005年5月(第2回) | |
執筆者 | 井上きよみ |
「市場調査(マーケットリサーチ)」は大手企業や広告代理店がやるもので、中小企業とは無縁のものと思っていませんか。確かに一昔前は、数百万円以上というのが相場でした。しかし、インターネットを利用した調査は、その1/10以下の費用でも可能です。
さらに「速さ」も見逃せません。質問票ができてから回収・集計まで3~7日程度で可能です。
小売店や消費財メーカーにとって、市場調査の用途はいくらでもありそうですが、実はほとんどの業種で有効利用できます。リサーチ会社が独自に保有しているモニタと呼ばれる回答者を利用する一般的な調査はもちろん、自社顧客を対象にしてリサーチ部分だけをお願いすることもできます(図表1)。
例えば求人に関する調査。募集する職種や勤務形態によってキャッチコピーや写真を変えるといった工夫が必要ですが、そもそも求職者が何に魅力を感じて応募してくるかが把握できていなければなりません。リサーチによってそれをつかみ、適切な告知で良い人材が応募・就職してくれれば、リサーチ料がかかっても、トータルとして大きな節約につながる可能性があります。
業種 | リサーチ内容や評価対象 | 目的 | 適切な回答者 | |
自社顧客 | モニター | |||
全業種 | 求人広告、求人用の会社案内の評価 | 求職者が魅力を感じる内容か? | △ | ○ |
全業種 | 顧客満足度調査 | 顧客満足の向上 | ○ | - |
製造業 | 自社製品・Webの評価 | 強み・弱み | ○ | - |
製造業 | 競合製品・Webの評価 | 競合対策 | ○ | (△) ※1 |
サービス、小売業 | 自社Webの評価 | わかりやすさ、訴求性 | ○ | ○ |
サービス、小売、製造直販 | 自社商品・サービスの評価 | 強み・弱み | ○ | ○ |
流通、サービス、消費財メーカー | 商品・サービスの認知度・イメージ | 広告戦略の練り直し | ○ | ○ |
流通、サービス、消費財メーカー | 潜在需要、ニーズ、意識の調査 | 新商品・サービス開発 | ○ | ○ |
流通、サービス、消費財メーカー | ネーミングのアイデア募集 | より多数の意見・アイデア収集 | ○ | ○ |
流通、サービス、消費財メーカー | 競合店・商品・サービスの評価 | 競合対策 | ○ | ○ |
ネットリサーチの依頼から納品までのステップです。
(1)質問数やサンプル数(回答者数)による概算見積
(2)調査票の作成
(3)アンケート画面(Webページ)の作成
(4)顧客・モニターへの告知
(5)実査
(6)データ回収、納品
リサーチ会社のモニタを使う場合は、(2)の調査票作成作業のみで済みますし、この作業自体も支援(有料と無料の場合あり)してくれます。(2)ができれば、数日待つとアンケート結果が送られてきます。集計や報告書作成も別途有料で依頼できます。
料金例に関しては図表2をご覧ください。
○基本料金 (単位:円)・・ | 質問票にしたがったアンケート画面作成、モニターへの告知、謝礼費、実査、アンケート結果(集計なし)納品を含む。 |
サンプル数(回答者数) | |||||
設問数 | 100人 | 200人 | 300人 | ・・・ | 1,000人 |
~5問 | 50,000 | 75,000 | 100,000 | ・・・ | 310,000 |
~10問 | 60,000 | 90,000 | 120,000 | ・・・ | 350,000 |
~15問 | 100,000 | 140,000 | 175,000 | ・・・ | 460,000 |
~20問 | 120,000 | 175,000 | 235,000 | ・・・ | 580,000 |
: | : | : | : | : | : |
~40問 | 235,000 | 285,000 | 345,000 | ・・・ | 800,000 |
※ モニターの性別・年代等の基本属性は設問数に含まれず、提供される ○単純集計(設問ごとに集計):10問ごとに10,000円 ○クロス集計:20,000円~ (※ 上記料金は、(株)マーシュの例。その他、各種オプションあり) |
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図表3 ネットリサーチの画面例。回答者はマウスクリックで簡単に答えられる。図や写真を入れられるのも、ネットリサーチならではの特長。(画面提供:(株)マーシュ) |
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図表4 簡易レポート例。コンビニ利用実態調査レポートの一部。レポート作成は調査とは別料金となるところが多い。(資料提供:(株)マーシュ) |
ネットリサーチは安い・速いだけでなく、他にも優れた特徴があります。
まず、深い聞き込みが容易なことです。手書きより遙かに楽なキーボード入力により、自由書き込み欄の内容が充実します。あらかじめ調査協力の承諾を得られているモニタの場合は、さらにその傾向が顕著になりますし、また、対面や電話調査では聞き難いデリケートな内容でも回答してくれる可能性が高いのです。
次に、「レアターゲット」と呼ばれる、かなり限定された条件の人を集めるにも有効です。例えば「3年以内に他の都道府県から埼玉県に転入した女性で、かつ5歳までの子供を持っている人」という具合です。対象者の確保がネットだからこそ容易になります。
そして、画像・音声・動画を調査票で提示できる点もリサーチの可能性を拡大できます。商品の写真やイラスト、音楽やテレビCMを見てもらって、感想や意見が聞けます。例えば「この商品にはどの色が似合いますか?」という問いに、実際に色の付いた写真を数点並べるという具合です。好き・嫌いといった直感で答えてもらうような質問にはうってつけでしょう。
アンケート回答はそのままファイルとして提供されるので、自社で表計算ソフトに入れて、いろいろと分析することもできます。
ただし、回答者がネット利用者に限定されるというデメリットもあるので、その点を踏まえた上での利用となります。
ネットリサーチのサービスを提供する企業には、図表5のような所があります。ネットリサーチの専業系、メールマーケティングやポータルサイトのサービスの一環としてリサーチを提供する所や従来からあるリサーチ会社がネットリサーチに進出したパターンなど様々です。
依頼側が重視するのは、主に価格とモニタの質といわれます。
利用するにあたっては、まず総額でいくら必要なのかをきちんと把握しましょう。基本料金といっても、各社で含まれるサービスは異なるので、価格表でわかりづらい点をしっかりと確認することが大切です。
モニタの質に関しては、その管理・維持状況や、有効回答の得られる率などを尋ねて確認します。
また、初めての利用にあたっては、リサーチ会社が親身になって対応やフォローをしてくれるかも重要なポイントとなります。
企業名 | 備考 |
マーシュ | ネットリサーチ専業系。良質なモニタの確保が強み。 |
マクロミル | ネットリサーチの大手。30万人のモニタをかかえる。 |
インフォプラント | ネットリサーチの大手。海外調査等も可能。 |
インタースコープ | ネットリサーチ専業系。データ解析手法等に特徴がある。 |
iMiネット | メールマーケティングの大手。会員数45万人。 |
Yahoo!リサーチ | ポータルサイトの強みを活かし、老舗リサーチ会社のインテージと組んで提供。 |
gooリサーチ | 2万5千人以上のビジネスモニターも保有。三菱総合研究所と組んで提供。 |
infoseekリサーチ | モニタは楽天市場で使えるポイントが貯まる。 |
実はリサーチは、自社名や自社商品を「認知」させる手段としても、有効に活用できます。販促活動の一種としても、うまく取り入れていきたいサービスです。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第2回 手軽にできるネットリサーチで戦略を練る
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