掲載誌 | 雑誌「アクセスさいたま」(財団法人埼玉県中小企業振興公社) | |
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掲載年月 | 2003年10月 | |
執筆者 | 井上きよみ | |
記事目次 | ●本文(第7回) 売上アップの秘策は、一目瞭然から ~昔「白地図」、今「GIS」(地理情報システム)~ |
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●各コーナー | 今月のBookMark「PC診断士」 | |
ワンポイント用語「電子署名法)」 | ||
お手軽ツール紹介「ゼンリン電子地図帳Z[zi:]6」 |
客の減少を嘆く中小企業は大変多いのですが、それに対する効果的な対策がなかなか講じられません。なぜなら、客がどこにいるかをつかめていないからです。
ほとんどの小売店やサービス業では、客の来店時に氏名、住所、誕生日などを記入してもらい、DMやサービスカードを出しているはずです。
では、そうして収集した顧客データのうち、何名が徒歩10分圏内に住んでいますか?という問いに即座に答えられるでしょうか。意外と回答できないものです。ご自身のカンだけで、漠然と商圏を捉えていたからです。
反対に客がどこにいるかがわかれば、打つ手も見えてきます。
![]() 図1 来店客を地図上にプロット。青○が半径500mの円。赤い太線が実際の来店客範囲。(情報提供:(株)シーリンコミュニケーションズ、(株)ジェー・ピー・エス) |
一度は顧客分布図を作ってみたいと思っていても、作業が大変そうで尻込みしていませんか。確かに一昔前は、住所と地図とをにらめっこしながら、1つ1つ客先を記入するしかなく、膨大な時間がかかりました。
しかし、今ではITを活かして、容易にできます。顧客データがコンピュータにあれば、それを専用のソフトに入れるだけで、あっという間に出来上がるのです。
このように顧客分布がビジュアルに分かれば、顧客の多い最寄り駅でもっとチラシを配ろうとか、反対に店から近いのに顧客の少ないのはなぜか、別の角度で調査してみようなどと、具体的に打つ手が見えてきます。
これが「GIS」(Geographic Infomation System;地理情報システム)と呼ばれるものです。「エリアマーケティング」ともいえますが、ITを利用して各種情報を地図に取り込み、その分析がビジュアルに見えるのがGISです。
顧客分布に限らず、国勢調査や商業統計などの統計データベースを利用できるのも特徴です(表1)。競合店の位置でさえも、わざわざ自分で調べる必要はなく、ほとんどの場合、データがそろっています。これらにより商圏内の需要や自店の売上予測ができ、新規出店時の判断にも大いに役立てられます。
データベース | 内容 |
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データベース | 人口、世帯数、昼間人口(これらを男女別、町村別等にも細分類できる)、人口移動など |
商業統計 | 品目別の取り扱い店数、販売額など |
消費支出推計データ | 「家計調査年報」を基礎データとした消費支出 |
工業統計 | 規模別に製造業の実態を見れるデータ |
NTTタウンページ業種別ポイントデータ | 全国1,100万件、1,650業種のNTTタウンページデータ |
DARMS | コンビニエンスストア、酒販店、スーパーマーケット、バラエティストア、百貨店、ホームセンター、薬局薬店、生活協同組合、GMS、SCの10業態合計約26万店の小売店舗 |
駅別乗降者数総覧 | JR・民鉄・地下鉄等すべてを含む東京大都市圏1,477駅、京阪神圏内1,065駅の乗降客数 |
さらに便利なのは、いくつかの情報を重ね合わせてみたり、複合して新しい指標を作ったりできる点です。
重ね合わせるとは、地図の上に何枚もの透明フィルムを置いた感じ(図2)で、重ねたり外したりがワンタッチででき、1枚の地図を視点を変えながら観察できます。
図3では、世帯数という一般統計データと自店の顧客データをミックスして、地区別の「がんばり度」ともいえる指標で色分けできています。最も色の濃い地区は、潜在需要が多いのに成績が芳しくないことがわかり、この地区への販促を強化すべきであると読みとれます。
![]() 図2 重ね合わせの一例。一番上の顧客データ以外は既存の統計データを利用。 |
![]() 図3 石川県の食品スーパーチェーンの1店舗。既存データを複合すると、地区別に集客のがんばり度が見えてくる。(情報提供:(株)ジェー・ピー・エス) |
アイデア一つでいろいろな場面で利用できそうです。
配送やルートセールスの多い会社では、道路情報と顧客情報を合わせて、効率的な配送ルートを導き出せます。観光センターでは、訪問者の質問に対し、ぴったりの場所とそこへの地図がすぐに出力できれば、サービス向上と業務効率化が同時に果たせます。地域活性化にも一役買えます。
また、道路情報と気象情報の組み合わせによる道路の凍結予測や土砂災害予測など、公共的な部分でも威力を発揮します。
表2 「MapOffice」の料金例 内容 料金 商圏分析 1件5万円~ 顧客分布分析 1件10万円~ コンサルティング 1日(5時間)5万円~
このように便利なGISですが、大きな難点があります。ソフトや統計データが高価で、中小企業にとっては高嶺の花でした。 【問い合わせ先】
電話 : 03-3664-3772
E-mail : sales@jps-net.com
しかし、良い方法があります。「MapOffice」というGISのアウトソーシングサービスを利用することです。産官学で構成されるGIS学会の認定したコンサルタントによりサービスが実施されます。専門家のノウハウを使ったビジネスマップが出来上がり、コストパフォーマンスは高いです(表2)。そのため、わざわざGIS製品を購入する必要がありません。そして、使いこなすための技術取得も不要となります。後者の点は意外と見落とされるのですが、これこそが活用の肝ともいえるポイントです。
このようなことから、初めてGISをやってみようという人には特にお勧めします。
GISの雰囲気がつかめてきたら、次段階として月数千円程度から利用できるASPサービス等も検討するとよいでしょう。
商圏分析などは決して1回限りのものではありません。定期・不定期に何度も実施することが、より効果的な売上アップへとつながります。
![]() 左上:トップページ 右下:クリーン度は61でした。結果を登録すれば、無料でPC診断士のアドバイスを受けられます。 |
エーアイソフトが提供するWebサービス「ai2you.com」の一メニューとして、無料でパソコンのセキュリティやクリーン度チェックを受けられます。
セキュリティチェックとは、個人情報漏洩対策・モバイルコード対策・ウィルス対策の状況をチェックした結果を10段階で表したもの。クリーン度は、パソコンの不要ファイルや孤立ファイル、未使用ファイルの割合、Windows自体の設定で必要のないレジストリ情報数、およびハードディスクの空き容量などを元に計算した、パソコン環境のきれいさを100点満点で総合的にチェックしたもの。
いずれも数値の高い方が良いです。他人のパソコンの毎月のクリーン度のランキングも見ることができます。ベストランキングにはいるのは難しいかもしれませんが、ワーストランキングに入らないように、せっせとパソコン環境の改善に努める励みにできそうです。
診断以外に、PCを快適に使うためのセキュリティ講座やメンテナンス講座、PCワード辞典があります。
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実社会での印鑑証明書に相当するのが電子署名で、送受信するデータの信頼性と、署名した本人から送信されたという2点を検査し、認証します。これにより、データの改ざん、第三者による「なりすまし」、後になって送信を否定する「事後否認」ができなくなります。つまり、配達証明郵便と同様の効果があります。ネットワークを利用した電子商取引や電子政府が成立するには、電子署名は不可欠です。
送受信するデータに付けられる"認証された一定の電子署名"が、手書きの署名や押印と同様に通用するようにしたのが、2001年4月に施行された電子署名法です。ただし、対象は私文書に限定されています。正式名称は「電子署名および認証業務に関する法律」で、認証機関や、認証機関を指定する指定調査機関についての細かい制度などを詳しく取り決めた法律です。
電子署名の認証は、国から認定を受けた事業者(認証機関)によって行われ、その一覧は、経済産業省「情報セキュリティに関する政策、緊急情報」で、事業者ごとのサービスの名称や認定の有効期限などを見ることができます。
標準価格 | 全国版13,800円(税別) 地域版(中日本版・東日本版・西日本版)それぞれ7,500円(税別) | ![]() |
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対応 | Windows XP/2000/Me/NT4.0/98SE/98 | |
発売元 | ゼンリン | |
URL | http://www.zenrin.co.jp/product/z6.html |
![]() 図1 新座市の志木駅付近の地図。コンビニなどの店舗や施設が表示される。 |
地図は住所・郵便番号・施設名で検索できます。それ以外に、タウンページに掲載されている電話番号や業種別の分類も利用できます。住所から探す場合、番地までわかっていれば、直接その場所の地図を表示できますし、地名の一部のみだけわかる場合でもその地域を探し出せます。電話番号も同様、局番リストから絞り込めます。また、駅や高速道路、駐車場・コンビニなどはあらかじめ登録されているので、住所がわからなくても見つけるのは容易です。
見つけた場所は、普通の地図(図1)として見るだけでなく、3D地図(図2)として建物の外観などを立体的に確認でき、初めての場所で待ち合わせをする場合などに重宝です。
![]() 図2 図1と同じ場所を「ブロックモード」3D | ![]() 図2 図1と同じ場所を「リアルモード」3Dで表示。3Dでは、見上げる・見下ろすことが可能。 |
イチオシの機能としては、スタート地点から目的地点までの道路ルートを探すための「ルート探索モード」です。地図上にルートを表示するだけでなく、通過する交差点の拡大図も印刷できます(図3)。これをカバンに入れておけば安心ですね。
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図3 川口税務署から草加駅までのルート探索を行い、結果を印刷。ルート全体図と交差点拡大図の両方が印刷される。 |
![]() 住所録から開かれた場所にピンマークを入れる。住所件数分、作業を繰り返せば、顧客分布マップのできあがり。 |
その他、デジカメ画像の取り込み、面積や距離の計測など、多くの機能があります。
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