9/14の朝日新聞に「簡単操作 ハイテク携帯」と題した記事で、富士通の「らくらくホン」の小声もはっきり聞こえる音声技術や、高齢者が使いやすい工夫が紹介されていた。
実は数日前、『いちばん「やさしい」ケータイを、あなたに。』というキャッチコピーの「らくらくホン ベーシック」を母に買った。
病気によって記憶力などに障害のある母が本当に使えるのか?という疑問を持ちつつも、母のライフ監視をするために購入したのだった。
しかし、ありがたい機能もある中で、本当にこれが高齢者のためのやさしさか? と思わざるを得ないことに、いくつも出くわした。
母はメールを使えないだろうから、通話機能だけの「らくらくホン シンプル」にしようかと思っていた。ダイヤルボタン等の文字盤がシンプルだからだ。
しかし、
反対にこの3つの条件を満たす「らくらくホン」から、母に気に入ったデザインを選んでもらったら、丸っこい形の「らくらくホン ベーシック」を手元に引き寄せた。
・電話を「かける」「とる」、「切る」の文字がどこにもない
電話をかけるためのボタンの下にある文字列は「文字」、切るためのボタンの下にある文字列は「電源」とある。
母と何回か電話をかける練習はしているのだけど、なかなかこの2つのボタンが使えない。何回か練習するうちにできるようになっても、次の日にはもうできない。
母も「なんできちんと書いてくれないの? 不親切ね。」と言っている。
もちろん、画面には「かける」ボタンを押す旨の指示が表示されるのだが、画面を見る習慣のない母には、それができないし、なかなか理解もできないのが残念だ。
・長押ししなければワンタッチにならないワンタッチダイヤルボタン
1秒以上長押しするとワンタッチでかけられるのだが、これも母が覚えるのは少し苦労する。
長押しという習慣がないのと、ワンタッチダイヤルボタンを使わない時のダイヤル後の「かける」ボタンを押す操作の違いを、なかなか理解しないからだ。
この数日間の練習で、母の混乱を防ぐためにも、ワンタッチダイヤルボタンの後も必ず「かける」ボタンを押すように統一した方がいいように思え、そのようにしている。
・ワンタッチダイヤルボタンにほしいラベルを書く場所
1番ボタン=私の番号、ということをすぐに忘れてしまう。
仕方ないので、細めのマジックペンでボタンの横に「きよみ」と書いた。
同様に「かける」「切る」ボタンも、マジックペンで「かける」「切」と書いた。
ここまでやっても、なかなか使えないので、今日も練習だ!
・はっきり「不要」と言っても、おためしが流れる「iチャンネル」
購入時に「iチャンネルは使わないので申し込みません。」と言い、使わない契約にしたにもかかわらず、母のケータイ画面に、ニュースのテロップが流れてきた。
母は「これは何?」と混乱し始めた。
端末を取り上げて画面を確認すると、1週間無料で使える「おためしサービス」だとわかり、説明書なども合わせて見ながら、おためしサービスを即刻止めた。
・夜にいきなり鳴ったベル
購入時に店員さんから「ドコモショップからお知らせをメールで受け取るようにすると3,000円引きです。」と説明されたものの、これも母には不要なので、3,000円高くなってもいいので、それを受け取らないことにした。
夜になって、母は眠りについた。
いきなり、静寂を破るように甲高い「キリリリリリ」というベル音が響いた。
私が設定した着信音とも異なるし、何よりも、この響き渡る音に慌てた。母も目を覚ました。
ベルはすぐに鳴り止んだが、その正体はNTTドコモからのメール着信音だった。
即刻、メール機能停止を設定した。
それでも、携帯電話は母の安否を探る重要な道具の一つである。
もう少し、やさしくなってくれればなあ。
「高齢者向け」と一括りにしないで、いろいろなタイプや年齢の高齢者がいることに着目して、商品やサービス開発をしてくれればなあ、と思った。
65歳以上を高齢者とするなら、国内には2700万人以上で、ますます大きな市場になるのは、間違いないのだから。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 「らくらくホン」本当の親切とは?
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